2日目 3月25日(火)
鳥栖-熊本-人吉-吉松-嘉例川-隼人-鹿児島中央(泊)
この日は、「SL人吉」と「いさぶろう」という2つの観光列車に乗り、熊本から肥薩線経由で鹿児島中央へと向かう。
鳥栖から熊本までは、ロングシートの各停電車に乗る。鳥栖発 7:26 で熊本着が 9:08 なので九州新幹線ならば40分もかからない
距離ではあるが、さすがに全駅停車なので4倍近くの時間がかかる。乗客は中高生が多く、久留米や大牟田などで多数下車していた。
SL人吉は 9:44 発で、熊本駅で下車して駅の売店で自宅用のお土産を購入し宅配便にて発送を依頼した。それにしてもほとんどの
みやげものに「くまもん」のキャラクターが印刷されていたのには驚いた。たしかに「くまもん」は経済効果が大きそうである。
再び熊本駅のホームに入ると既に「SL人吉」が入線していて、多くの鉄道ファンや子ども連れのファミリーがSLの周りに集まり
写真を撮っていた。 58654 という蒸気機関車は、長崎本線で使用され、その後九州各地を転々としたのち、唐津線や筑豊各路線で
使用された後現役を退いたが、九州新幹線の全線開業を睨み観光資源として 2009年4月 より熊本駅 - 人吉駅間で運転が開始された。
観光資源だけにJR九州側のサービスも良く、無料でSL前の記念写真の対応をしていたので、私も便乗してお願いした。
このSL人吉は全車座席指定であるが、快速列車なので指定券を購入すれば青春18キップでも乗車できるためか、ほぼ満席の盛況
であった。 春休み中だったので、小学生連れのファミリーが多かったが、中高年のシニア層も意外と多かった。
SL人吉は3両の客車が接続され、売店にはお弁当やSLグッズも販売されており、こちらも盛況であった。
SL人吉の写真
JR九州では「手振り運動」を展開しているが結構浸透しているようで、列車内の人と沿線の人々の間でお互いに手を振ることで
良いコミュニケーションが取れているように感じた。あいさつ運動の鉄道版といったところか。
列車は熊本を発車すると九州新幹線の新八代駅、八代駅への停車するが、この区間だけで下車する人も結構いた。
八代駅から肥薩線へと入る。 この肥薩線は鹿児島本線ができる前は熊本と鹿児島間のメインルートであり、九州一の大河の
球磨川の眺めが良く、特に春は沿線の桜が美しい。
八代-白石間の写真
八代から人吉までの間に、観光客向けに白石(しろいし)駅と一勝地(いっしょうち)駅に10分程度停車する。白石駅の駅舎は
現在(2014年3月時点)106歳であり100年以上前の駅舎に感動した。一勝地駅は、球磨川下りの最寄り駅であるが、「地に足を
つけ一勝を!」という語呂合わせで入場券やお守りが必勝祈願として有名、との事である。 SL人吉運行期間中は売店も営業して
いて、入場券やお守りなどの縁起物が結構売れていた。 人吉の手前の西人吉付近は桜の名所となってあり、沿線にはSL+桜の風景
を写真に撮るため、多くの人たちがいた。 SL人吉は定刻どおり 12:13 に人吉駅に到着した。
白石-人吉間の写真
人吉駅で約1時間ほどの観光時間があったので、青井阿蘇神社と永国寺の2つを観光した。青井阿蘇神社は本殿など5棟の建造物が
国宝に指定されており、熊本で初めて誕生した国宝との事である。永国寺は幽霊の掛け軸で有名なことから幽霊寺とも呼ばれている。
人吉市内の写真
人吉発 13:21 吉松行きの観光列車「いさぶろう3号」に乗車する。人吉と吉松間には1日2往復の観光列車が走っており、人吉→吉松
の下りが「いさぶろう」、吉松→人吉の上りが「しんぺい」という列車名になっている。肥薩線のうち、特にこの人吉-吉松間は
難工事であったが、開通に尽力した当時の逓信大臣山縣伊三郎と当時の鉄道院総裁であった後藤新平の名前に由来している。
当日は、日本人以外のアジアからの観光客が多く、車内はほぼ満席状態であった。
人吉の次の駅が大畑(おこば)駅であるが、この間にある大畑ループ線は、ループ線の中にスイッチバックがある全国的にも珍しい
ところである。大畑駅の次の矢岳(やたけ)駅にはSL館があり、SL人吉を牽引した蒸気機関車は以前はここに保存されていた。
矢岳駅と次の真幸(まさき)駅の間に「日本三大車窓の風景」と言われる地点があり、雄大な霧島連山やえびの高原を展望できる。
天候次第では桜島も見る事ができるとの事であったが、この日は残念ながら桜島は見えなかった。真幸駅は真の幸せに通じるもの
として沿線の人気駅で、ホームの中央に幸せの鐘が置かれ、チョット幸せな人は1回、もっと幸せを願う人は2回、いっぱい幸せの
人は3回鳴らすのが良いとされている。 列車は定刻どおり 14:47 に吉松駅に到着した。
人吉-吉松間の写真
吉松駅は肥薩線と吉都線が乗り入れているが、かつて両線は鹿児島本線と日豊本線であったので、この駅は大幹線の分岐駅として
大いに賑わい、鉄道のまち、として栄えた。 その象徴として駅前広場にはC55形蒸気機関車52号機が静態保存されているほか、
吉松の町と鉄道との関わりを紹介する展示館なども設けられている。しかし駅構内には売店もなく寂しい雰囲気が漂っていた。
吉松駅と周辺の写真
吉松発 15:45 隼人行きの各停列車に乗る。人吉-吉松間は1日5本しかないが、吉松-隼人間は特急列車を含めて1日15本程度
走っているので利便性は良い。途中の嘉例川で下車する。駅舎は開業当初からの木造建築で、鹿児島県内の駅としては最古の存在で
ある。この駅舎を旧隼人町が保護のため買いとり、現在は登録有形文化財に登録されている。この日は、駅前広場は工事中であった。
嘉例川駅は最近土日限定で販売する嘉例川弁当が有名となったが、この日は火曜日の夕方なので、残念ながら弁当は入手できなかった。
嘉例川駅の写真
嘉例川駅でのんびり次の列車まで小1時間ほど過ごし、次の列車で隼人に向い、隼人から日豊本線に乗り換え、鹿児島中央駅へと
向かう。途中から雨が降り出し、残念ながら桜島ははっきりと見えなかった。
今夜は鹿児島中央駅から徒歩10分の「天然温泉かけ流し 絹肌の湯 シルクイン鹿児島」に宿泊した。
旅行記(3日目)
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