旅行記(2)

   上千本口の竹林院というところから、桜シーズン中は、奥千本まで山林を走るマイクロ
   バスが運行されていた。 しかしこのバスに乗るのに待ち時間40分、まるでディズニー
   ランドのアトラクションのようだ。しかし山道の上り坂を5kmも歩くのもしんどいので、
   頑張って待つことにした。バスに10分ほど揺られ、着いたところは奥千本の桜や杉の木
   に包まれた古びた社殿の金峯神社である。ここから、西行庵までの周遊散策路をまた
   歩く。西行庵は、俗世を捨てた西行が、閑居した庵で、内部に西行の木造が置いて
   あった。この当たりまでくれば、千本までいかないが、桜の木が20〜30本は満開で、
   家族連れやアベックがビニールシートを敷いてお弁当などを食べていた。

   再びマイクロバスを降りたところまでもどって来た後は、ひたすら近鉄吉野駅まで
   歩くコースとなる。今朝から曇りであったが、ついに雨が降り出してしまい、ハイカーは
   一斉に傘を取り出す。約30分ほど歩いて、高城山展望台に着く。ここは南北朝時代、
   南朝の護良親王が最後の砦としたところだけあって、展望台に立つと、吉野を眼下に
   大和周辺の山々がかすんで見えた。天気の良い日はきっと良い眺めだろう。
   さらに10分ほど下っていき、吉野水分神社に着いた。この寺は、桃山時代の社殿が
   重要文化財となっているようだ。また、この寺は子授への神を主神としているようで、
   豊臣秀吉が祈願して秀頼を授かったと伝えられているとの事。しかし、境内はそれほど
   広くなく、中庭に古い桜の木がしっかり花を咲かせているのが力強く感じた。
   吉野水分神社を出て、如意輪寺へ急ぐことにした。もう午後4時近くとなった。

   吉野水分神社から如意輪寺に向かう途中、道が2つに別れ、私はあまり人が通らない
   方を選んでしまった。上千本付近で人が多いにはびっくりしたが、このコースのように
   めったに人が通らないというのも多少不安である。 この時、さっきの蔵王堂で今夜
   6時半からライトアップして夜の音楽コンサートをやる、という案内放送が流れて来た。
   吉野町は、吉野山のあちこちにスピーカーを配置に、広域放送をやっているようだ。
   山道を下ること約30分で、如意輪寺に着いた。この寺は、後醍醐天皇の忠臣であった
   楠木正行が、一族143人がこの寺で髪を切り過去帳に姓名を記載し、最後の決戦に
   臨んだ、という事で有名な寺との事。17時近くで公開時間が終わってしまうので、宝物
   展と庭園をあわただしく見たが、宝物展の方はあまり頭に入らなかった。考えてみれば
   本日唯一拝観料を払ったのがこのお寺であった。

   如意輪寺をあとにして、約40分の道のりを近鉄吉野駅に向かって歩く。
   吉野駅についたのは18時過ぎで、18時半頃の電車で、今夜の宿泊地のJR大和小泉
   駅に向かう。実はこの駅、今朝見てきた郡山駅のとなりの駅である。

 吉野山 奥千本〜西行庵〜高城山展望台〜吉野水分神社〜如意輪寺〜吉野駅の写真


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