1日目 10月14日(水)
 新横浜-(新幹線ひかり号)- 静岡 - 金谷(大井川鐵道フリーキップを購入)- 千頭 - 井川(駅周辺散策)- 接岨峡温泉
  …(ハイキング)… 湖上入口バス停 - 奥泉(バス)- 寸又峡温泉(付近散策)- 千頭 - 金谷 - 掛川(泊)


 この日は、自宅を出発後、金谷から大井川鐵道に乗車し、大井川鐵道沿線と寸又峡温泉を散策し、掛川に宿泊するコースである。



 (1日目の行程。 GPSロガーを使って、ログデータから実際に移動した場所を表示。 青色が実際に移動した軌跡。
   ただし、自宅からJR金谷駅までのルートは省略)



 大井川鐵道は、金谷-千頭(せんず)間を走る「大井川本線」と、千頭-井川間を走る「大井川鐵道井川線:南アルプスあぷとライン
 という愛称がある」の2つに分かれており、前者は電化されてありSL(蒸気機関車)も走っている。 特にSL「トーマス号」が
 人気があり、大井川鐵道=SLというイメージが定着しているようだが(実際に平日もSLが走るのは大井川鐵道のみである)、
 私が子どもの頃、当時の北海道はSLがまだメインでありSLへは何回も乗車した事があるので、それほど乗りたいとは思っていない。 
 私が今回ぜひとも乗車して散策したいと考えたのは千頭-井川間の「大井川鐵道井川線」であるが、この線は1日5本しか運行して
 おらず、この線を補間してほぼ並行して走っている路線バスも1日3本(季節によっては4本)となっている。更にこの沿線の観光
 スポットとして寸又峡温泉があるが、千頭-寸又峡温泉のバス便も1日9本(閑散期には5本)となっている。このため待ち時間が
 少なくなるような効率的な計画を立てる必要があった。 なお、上記の鉄道とバス路線が2日間乗り放題の「大井川流域・奥大井
 周遊きっぷ」が4900円で発売されている。
 以上のような状況なので、千頭 9:12 発の井川行き列車に間に合う事が必要で、そのためには新横浜 6:00 発の小田原や静岡に停車
 する新幹線「ひかり535号」に乗る必要があった。 時刻表を調べて、自宅の最寄り駅である玉川学園前で 4:50 発の始発電車に乗車し、
 玉川学園前-登戸-武蔵小杉-菊名-新横浜という距離的には遠回りになるルートを利用すれば新横浜に 5:54 に到着できるので
 この新幹線ひかり号に間に合う事ができた。(これ以外のルート、例えば小田急で小田原まで行き、小田原から新幹線に乗る案など
 では「ひかり535号」には間に合わない。) 新横浜までの電車はコロナ禍にもかかわらず、それなりの乗客がいて途中座れない
 区間もあった。

 新横浜 6:00 発の「ひかり535号」は小田原に停車後、静岡に 6:40 の到着で在来線に乗り換えて金谷に 7:22 に定刻どおり到着
 した。 ちなみに私はJRのジパング倶楽部に入っているので、200km以上の乗車券および同時購入の特急券は3割引となるが、
 横浜市内-掛川がギリギリの 200.5km となるので、乗車券は横浜市内-掛川間を購入し、手前の金谷は途中下車扱いとした。
 金谷駅で大井川鐵道に乗り換えるが、ここで「大井川流域・奥大井周遊きっぷ」を購入した。実は同社のホームページでこの
 フリーキップが今年9月1日から限定1200枚で半額の2450円のキャンペーン価格で売り出す記事があったので少しだけ
 期待したが残念ながら既に予定数終了との事だったので通常価格での購入となった。

   金谷-千頭間の写真

 金谷-千頭間の電化区間は、近鉄の16000系、南海の21000系、東急の7200系の中古車らしき電車が運転されていた。途中の家山駅
 は駅構内が桜の名所で観光用のポスターでは、SL+満開の桜で家山駅構内を写したものを良くみかける。
 金谷から約1時間15分で千頭駅に到着。 千頭駅構内では子どもが喜びそうなSLトーマス号などが待機していた。

 千頭-井川間の「大井川鐵道井川線」に乗り換える際に、何故か検温チェックがあった。紅葉前なのかコロナ禍なのか、乗客
 は少なく全部で20人ほどであった。 この路線は、日本唯一のアプト式列車が走行している区間である。
 アプト式とは2本のレールの真ん中に歯車レール(ラックレール)を敷き、床下に歯車(ラックギア)が設置された特殊な
 電気機関車を使い、機関車の歯車とラックレールを噛み合わせて急こう配の線路を登り降りする方式の事である。
 井川線では「アプトいちしろ駅」~「長島ダム駅」間の約 1.5km に導入されており、この区間は1000分の90(1,000m走るうちに
 90m上がる)という日本一の急こう配となっている区間である。
 このように、井川線は途中上記電気機関車の連結/切り離しする必要がある等の理由により、全区間が 25.5km にもかかわらず
 所要時間が約1時間50分もかかってしまう。千頭駅から閑蔵駅(井川駅の1つ手前の駅)までは前述の路線バスが並行して
 走っているが、所要時間は鉄道が約90分に対してバスは約30分と路線バスの方が圧倒的に短い。
 井川線では走行中に車掌が車内放送で井川線沿線の見どころをご案内しているので、地域住民の足というより観光路線の位置づけ
 なのかと思う。千頭駅から約50分でアプトいちしろ駅に到着し、ここでアプト式用電気機関車を連結。慣れた作業なのか、
 連結作業はすぐ終わり、日本一急勾配の路線を登って行くと、やがて右手に大きな長島ダムが見えてきた。 長島ダム周辺には
 キャンプ場があり、この日はここに車が1台とまっていてテントを張る準備をしている人を見かけた。 実は井川線はこの長島
 ダムを建設する前は旧線としてダム底付近を走っていたのでキャンプ場付近から井川線旧線跡のトンネルなども見る事ができ
 シーズン中には廃線跡訪問ツアーも開催されているようである。長島ダム駅に到着後、アプト式用電気機関車は切り離された。
 長島ダム駅から10分ほどで有名な奥大井湖上駅に到着し何人かはこの駅で下車した。 私は後でこの駅で立ち寄るので、
 このまま終点の井川駅まで乗り過ごす。 途中、牛山隆信の秘境駅ランキング第2位の尾盛駅や、川底からの高さは70.8mで、
 日本一高い鉄道橋である関の沢橋梁などを通り終点に井川駅には 10:59 に到着。

   千頭-井川間の写真

 井川駅周辺には中部電力井川展示館や廃線となった旧井川線を使った散策路などがあるが、今回は井川発 11:28 の折返し列車で
 引き返すため、井川ダムを見るだけにとどめた。 折り返し列車では接岨峡温泉駅で下車。テレビの旅番組で良く見かける駅長
 がこの日もホームに立って乗客の乗り降りのサポートをしていた。 大井川鐵道作成のパンフレットに、隣の奥大井湖上駅まで
 歩く「レインボーブリッジコース」が紹介されていたのでこのコースを歩いたが、結果的には2つの駅間には特に印象に残る
 ところはなかった。奥大井湖上駅へ向かうところに急な階段があり、何とか奥大井湖上駅に到着した。奥大井湖上駅に架かる橋
 はレインボーブリッジと呼ばれ遊歩道が70mほど併設されているので、ここを歩いてみたが、少しスリルを感じて楽しかった。
 奥大井湖上駅から先ほど降りてきた急な階段を登り、路線バスの停留所がある「湖上入口」へと向かう。 途中奥大井湖上駅を
 眼下に見渡せる絶景ポイントがあった。息を切らしながらさらに坂を登って行き、ようやく「湖上入口」バス停に辿り着いた。



   (接岨峡温泉駅から奥大井湖上駅までの散策路。 GPSロガーのログデータで実際に移動した場所の軌跡を表示)


   接岨峡温泉駅から奥大井湖上駅への散策の写真

 湖上入口 13:06 発のバスに乗車し、次の目的地の寸又峡温泉へと向かう。途中の奥泉駅に 13:20 に到着し、ここで 13:30 発の
 寸又峡温泉行き路線バスに乗り換える。寸又峡温泉までの道路は狭く対向車にドキドキしそうな場所であるが運転手は慣れている
 のか定刻どおり 13:58 に寸又峡温泉入口バス停に到着した。
 寸又峡温泉は南アルプスの麓から湧き出る良質な天然温泉で湯上がりの肌がつるつるになることから「美人づくりの湯」とも
 言われているようであるが、今回は温泉は諦めて「夢の吊り橋」とその周辺をメインに散策する事にした。
 寸又峡温泉入口バス停付近に昔走っていた千頭森林鉄道の車両が展示してあったが、昔は日本各地で森林を運び出すのが主目的
 であった森林鉄道があり、今はその多くが廃止になっているが一部現存している森林鉄道もあるようなので、機会があったら
 現存の森林鉄道めぐりを考えてみたいと思った。寸又峡温泉入口バス停から5分くらい歩くと寸又峡温泉バス停があるが、
 路線バスでここまで来るのは早朝の1便だけで残りは全て寸又峡温泉入口止まりとなっている。寸又峡温泉バス停付近には
 有料駐車場があるが、自家用車で来ることができるのはここまでで、ここから夢の吊り橋までは約40分歩くしかない。
 夢の吊り橋の近くにくると「ここから夢の吊り橋まで60分待ち」といった標識があった。夢の吊り橋は同時には10人程度
 しか渡れないので、観光シーズンのピーク時には長い行列ができるようだ。もちろんこの日は紅葉前の平日ということで、
 待ち時間ゼロで夢の吊り橋に渡ることができた。 それにしてもこの吊り橋はよく揺れるし歩道も狭くスリル満点である。
 原則一方通行であるが、渡った後に戻ってくる人がいるとすれ違うのに恐怖を感じる。順路では夢の吊り橋を渡った後に
 長い坂を上っていき、その後「飛龍橋」へ迂回し夢の吊り橋入口まで戻ってくるコースになっているので、それに沿って
 散策した。途中「尾崎坂展望台」があったが、あまり展望は良くなかったが「飛龍橋」からは渓谷の絶景を見る事ができた。

   寸又峡温泉と周辺の写真




 (寸又峡温泉の散策。 GPSロガーのログデータで実際に移動した場所の軌跡を表示)


 寸又峡温泉入口 16:02 発のバスで千頭まで引き返し、千頭からは 16:51 発の金谷行きの大井川本線の電車に乗車し金谷で
 JR東海道本線に乗り換え、今夜の宿泊地の掛川には 18:23 に到着。 
今夜の宿泊ホテルは、「天然温泉 茶月の湯 ドーミーインEXPRESS掛川」であり、天然温泉の大浴場に入った後、この日は
 23000歩以上歩いたためか疲れでうたた寝をしてしまったため、ドーミーイン系ホテルでは名物となっている夜鳴きそば
 (ミニサイズのあっさり味の醤油ラーメン)を食べ損ねてしまったのは残念であった。


   旅行記(2日目)

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