2日目 10月19日(火)
津山-美作滝尾(駅散策)-津山-中国勝山(散策)-新見-総社-(井原鉄道)-神辺-福山-糸崎-岩国(泊)
(2日目の行程。GPSロガーを使って、ログデータから実際に移動した場所を表示。青色が実際に移動した軌跡。)
この日はまず、朝食前に津山から3つ目のJR因美線の美作滝尾(みまさかたきお)駅に行くため津山 6:47 の
列車に乗車する。JR因美線津山駅の隣の東津山から鳥取までの 70.8km の路線である。現在は、鳥取-智頭間
は第三セクターの智頭急行線経由で山陽と山陰を結ぶ主要路線となっており特急列車も走行しているが、
智頭-東津山間は完全なローカル線となっている。この沿線上の美作滝尾駅は1928年(昭和3年)に建てられた
駅舎で、「昭和初期の標準的な小規模駅舎」という点が評価され、2008年11月1日付けで登録有形文化財となった。
そのため、渥美清さんの「男はつらいよ」シリーズの最終作である第48作「寅次郎紅の花」の冒頭シーンにこの駅が
登場するのだが、実は山田洋次監督の希望で美作滝尾駅がロケ地となったようである。「寅さんとともに日本中の
駅を見てきましたが、美作滝尾駅ほど美しい駅はもう日本のどこにもありません。」という山田洋次監督からの手紙
が駅員室にあるとの事である。 美作滝尾には 7:04 に到着。 津山方面に列車がまで22分の余裕があったので、
駅構内をゆっくり見る事ができたが、もし駅にロケの写真がなかったならば駅全体がまるで昭和で時が止まったかの
ような感じであった。帰りの列車は美作高尾 7:26 発の津山行きであるが、ちょうど通学時間帯だったので、多くの
高校生らしき人が乗車して乗車率は 150% ほどであった。津山に 7:44 に到着。
(津山駅-美作滝尾駅間。 GPSロガーのログデータで実際に移動した場所の軌跡を表示)
美作滝尾駅の写真
ホテルで朝食をとった後、津山 10:07 発のJR姫新線の列車で中国勝山へと向かう。中国勝山には 10:57 に到着。
中国勝山駅がある場所は、2005年から岡山県真庭(まにわ)市に属しているが、昔は勝山町に属していたため、
駅名に勝山の名が残っている。 実は私が大学生の時にこの駅に一度だけ下車した事があり、当時はこの路線に
急行列車が走行しており、この駅が急行列車の終着駅であった。当時何故この中国勝山駅に行ったかというと、
近くに「神庭(かんば)の滝」という綺麗な滝があるとの情報があったのでそこへ行く目的であった。しかし実際
には片道1時間以上かかり、中国勝山駅に戻って来たのは夕方かなり遅くなってしまった、という記憶が残って
いる。今回、約45年前の記憶をたどって「神庭の滝」に行くために中国勝山駅に途中下車したが、事前情報で
レンタサイクルがあるとのなのでこれを利用する事にした。
借りた自転車は荷物用のかごが着いている普及型タイプではなく、かご無しのスポーツタイプであったので、
リュックを背負ったままの運転でとても大変だった。おまけに滝の手前2km付近からは軽い上り坂だったので、
自転車を手押しで目的地の滝へと向かった。何とか中国勝山駅から約1時間ほどかかって「神庭の滝」に到着する
事ができたが、当然とは言え約45年前に比べて滝の周辺はかなり変わっていた。大きな違いは、駐車場が整備
されていて有料になっていた点と、現在は野生の猿に会える可能性がある事を宣伝している点である。ただし野生
の猿は気まぐれらしく残念ながら今回は猿には会えなかった。肝心の滝であるが、たまたま当時の写真(ただし
画質は悪いが)があったので比べてみると、当然ではあるが全く同じ雰囲気であった。当時は紅葉時期に来た
ようであるが、ここの紅葉も1つの名所になっているようである。今回は平日であったが、5~6組の訪問者が
あった。
神庭の滝の見学を終え、約45年前は見学できなかった中国勝山の古い町並みを散策するため再び自転車に乗車
したが、今度は下り坂なので20分ほどで市街地に着く事ができた。旧勝山町は出雲街道の宿場町として栄えた
ところなので、今でも昔ながらの白壁の土蔵、格子窓の商家、古い町並みが残っており、岡山県で最初に「町並み
保存地区」に指定されたところである。ここの町並みの特徴は、各家で異なる草木染めの「のれん」が彩る点で、
これが観光客の目を楽しませてくれる。残念ながら次の列車の発車時刻の制約で、古い町並みには1時間弱しか
滞在できなかったが、蕎麦屋で昼食をとる時間は確保できた。店内は古い古民家で良い感じで蕎麦も外見は美味し
そうであったが、そば粉が多いためかボロボロとなってしまい少し残念であった。駅に戻る途中に神輿を担ぐ住民
たちがいたので、お祭りも近いのであろうか。
(神庭の滝と中国勝山の散策。 GPSロガーのログデータで実際に移動した場所の軌跡を表示)
神庭の滝と中国勝山の写真
中国勝山周辺の3時間弱の楽しんだ後、中国勝山 13:42 発の列車で今夜の宿泊地の岩国へと向かう。 この日は
この後ひたすら列車での移動で、新見、総社、神辺(かんなべ)、福山、糸崎が乗り換え駅となる。 岩国まで全て
JR線で行くことも可能であるが、今回は、総社-神辺間は第三セクターの井原鉄道に乗車する事にした。
中国勝山を出た列車は新見に 14:33 に到着。 少し時間があったので新見駅前を見てみると、立派な観光案内所の
建物があった。(9年前に初めて新見駅で下車した時は小さな個人商店で、ここで昼食用の菓子パンを購入した。)
新見からはJR伯備線で、山陽と山陰をつなぐ主要幹線で特急電車の1時間に1本程度走っている。新見 14:51 発の
各停電車に乗り総社に 15:50 の到着。
井原鉄道井原線は、総社からJR福塩線の神辺駅までの 41.7 km の単線非電化の第三セクター路線であるが、
総社と次の駅の清音(きよね)間の 3.4 km はJR西日本の伯備線との共用区間となっている。従って総社-清音間を
井原鉄道の車両に乗車した場合は青春18キップでカバーされる別料金が請求される、という全国的にも珍しい路線
となっている。清音から井原線に入ったが何故か違和感を感じた。その理由は全線高架となっている点である。
経緯を調べて見ると、この路線は旧国鉄井原線として開業される予定だったが頓挫し第三セクターとして開業する
事になったが、建設当時は新規路線はやむを得ない場合を除き道路との平面交差(つまり踏切)を設置してはなら
ない、という法律が制定されていたため高架になったが、まっすぐ最短距離で線路を引くことで建設費も安く高速
運行が出来、従って自動車にも対抗できる、という考えだったようである。これはある意味正解で、2018年の西日本
豪雨でも被害を受けなかった。このように高速化をはかったためか、井原線は通学生だけではなく一般客もそこそこ
乗車して、それなりの乗車率であった。
井原鉄道の総社-神辺間は片道 1120円であるが、土・日・祝日には1日全線乗り放題のスーパーホリデーパスを
1000円で発売している。井原線の車両基地のある早雲の里荏原駅には大原美術館の絵画がラッピングされている
アート車両があったので、このような車両は土日祝日に活用されるのであろうか。
特に沿線に大きな観光資源は無いが、約1時間の列車旅を楽しんで神辺には 17:10 に到着。
中国勝山-岩国間の写真
神辺から 17:13 発のすぐに接続する電車で福山へと向かい。福山からは途中糸崎で乗り換えて岩国へは 20:45 と
いう遅い到着となった。今夜の宿泊ホテルは、「グリーンリッチホテル岩国駅前」、というビジネスホテルである。
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