旅行記(4)

   長谷寺から桜井駅で近鉄からJRに乗り継ぎ、1駅の三輪駅で下車する。三輪そうめん
   で有名な駅名である。この日は統一地方選挙のためか、三輪駅の前で候補者が演説
   をやっていた。以前にこの駅には2回ほど来た事があるが、当時とは駅が立派になって
   いる点と、大神神社まで行く道が遠回りになった点が異なっていた。昔の方が趣があった。

   大神神社は、日本最古の神社の1つで、ご神体は三輪山そのものなので本殿が存在
   しない、というのが特徴となっている。 人間生活全般の守護神との事なので、参拝客
   が多いとガイドブックにあったが、実際雨の日にもかかわらず、参拝客は多かった。

   雨が小降りになったので、意を決して長岳寺まで歩くことにした。この山の辺の道は、
   奈良と飛鳥を結ぶ日本一古い官道といわれているものである。この日歩いたのは、

     大神神社━狭井神社━玄賓庵━桧原神社━景行天皇陵━崇神天皇陵━長岳寺

   という約4時間のコースである。 いずれも所謂観光地ではなく、歩くコースも畑の中と
   いう感じで、このようなところを好む人は、日本の歴史に興味があるハイキング好きの
   人が相場である。大神神社の摂寺で三輪山への登山口がある狭井神社を過ぎると、
   小学校低学年の子を含む10人くらいの団体ハイカーに玄賓庵で追いついた格好に
   なった。玄賓庵は、玄賓僧都の庵で、静かな境内のはずだが、団体客の騒がしい声が
   不釣り合いな感じだ。 山の辺の道には、野菜、果物の無人販売が多い。 しばらく
   歩くと同じく大神神社の摂寺の桧原神社に着いたが、誰もおらず静かな境内だ。

   ここから景行天皇陵までのコースは、自動車の通る舗装された道も多く、あまり良い
   ハイキングコースとは言えないので、足早に歩く。 景行天皇陵、崇神天皇陵とどれも
   似たような天皇の墓を過ぎ、長岳寺の近くで、「トレイル青垣」という天理市が開いた
   山の辺の道の学びと憩いの施設があったので、そこに入った。 係の人もいて、ハイ
   キングコースのパンフレットも備わっていたが、ゴミ箱が無いのが特徴だ。ゴミは持ち
   帰って下さい、が基本のようだ。 以前にはなかったので、最近できたのだろうか。
   あの日は気がつかなかったが、学生時代によく利用した天理山の辺の家ユースホス
   テルもこの当たりだった記憶がある。 同じ天理市の経営なので、これに置き換わっ
   てしまったのだろうか。係の人にきけば良かった。

   長岳寺は、つつじを中心に花が多い境内であるが、この日はやけに老人が多かった。
   ぼけ防止の何かの行事をやっていたためと、すぐ納得した。 このお寺は鐘を自由に
   ついてよいので、私もさっそく願いを込めてひとつきした。拝観料を払って入手する
   お寺の案内資料であるが、30年ほど前の学生時代にもらった時は単色であった
   が、今はフルカラー版になっていた。このお寺でそうめんを食べさせてくれるのは
   昔と変わっていないが、16時半と時間が遅かったので今回は食べる事ができな
   かった。

   長岳寺から15分ほど歩き、JR桜井線の柳本駅に着き、今回の大和路の旅は終わり
   となった。 柳本−奈良−京都とJRを乗り継ぎ、新幹線に乗る頃には歩き過ぎたため
   少し足が痛く感じた。

      山の辺の道の写真

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