6日目 12月29日(日)
 豊橋-浜松…新浜松-西鹿島-宮川-(駅舎見学)-岩水寺-(駅舎見学)-天竜二俣-(転車台&鉄道歴史館ツアー)-金指-(駅舎見学、初山宝林寺散策)-気賀(駅舎見学、気賀関所)-
 西気賀(駅舎見学、西気賀駅周辺の散策)-三ヶ日(駅舎見学)-新所原-浜松-静岡-沼津-横浜-町田

 この日は、第三セクターの天竜浜名湖鉄道の西半分に乗車し、天竜二俣駅で「転車台&鉄道歴史館」見学ツアーに参加し、自宅に戻る、というコースとなる。



 (6日目の行程。 GPSロガーを使って、ログデータから実際に移動した場所を表示。 青色が実際に移動した軌跡。)


 天竜浜名湖鉄道(天浜線と呼ばれている)は、静岡県の新所原-掛川間を浜名湖の北側を通るルートで、旧国鉄二股線を第三セクター会社が引き継いだものである。この沿線には39個の駅があるが、
 そのうちの11個が国登録有形文化財駅舎となっている。 沿線の主要駅である天竜二俣駅には蒸気機関車が走っていた時代に蒸気機関車の車両を進行方向に向けるための転車台が可動できる状態で
 残っており、併設の鉄道歴史館はには旧国鉄二俣線時代に実際に使われていた貴重な道具類を展示している。これらを見る事ができる第三セクター社が企画する見学ツアーが毎日1回(休日は1日2回)
 行われている。この日は 10:50~ と 13:50~ の2回が開催される予定になっているが、10:50~ のツアーに参加すべく計画を考えた。
 天浜線へ入るには、西側はJR新所原駅、東側はJR掛川駅であるが、浜松から遠州鉄道を使って終点の西鹿島駅(この駅に遠州鉄道と天竜浜名湖鉄道が乗り入れている)から入る方法もある。 
 天浜線の駅舎めぐりには乗り放題のフリーキップが最適であるが、遠州鉄道の浜松-西鹿島間と天浜線の西側の新所原-天竜二俣間が乗り放題となる「西ルート 天浜線・遠州鉄道共通1日フリー
 キップ」が 1480 円で発売されているので、今回はそれを利用する事とした。



  (遠州鉄道と天竜浜名湖鉄道西ルート。 GPSロガーのログデータで実際に移動した場所の軌跡を表示)


 ホテルをチェックアウトし、豊橋 7:25 発のJR各停電車で浜松に 8:03 の到着。ここから徒歩で10分くらいの距離の遠州鉄道の新浜松駅があるので、そこで前述のフリーキップを購入した。



  (現地で購入した、「西ルート 天浜線・遠州鉄道共通1日フリーキップ」と「転車台・扇形車庫見学券」)

 天浜線は列車の本数はラッシュ時を除き日中は1時間に1本しかない非電化区間で完全なローカル線の様相であるのに対し、遠州鉄道は日中でも1時間に5本ほどあり電化されていて浜松市の近郊電車
 といった様相である。 遠州鉄道内にも観光スポットがあるようだが、今回は天浜線乗車が目的なので、新浜松 8:24 の電車に乗り終点の西鹿島を目指す。 西鹿島 8:59 に到着。
 西鹿島 9:14 の宮口止まりの下り列車に乗車し宮口で下車したが、ちょうどウオーキングイベントが開催されていたため、この駅で多くの乗客が降りた。宮口駅は駅本屋、プラットフォーム、待合室が
 国登録有形文化財に登録されている。10分程で反対方向(上り)の列車が来たので1つ手前の岩水寺(がんすいじ)駅に引き返す。岩水寺駅は、待合室とプラットフォームが国登録有形文化財に登録
 されている。 10分程で次の列車(先ほど西鹿島→宮口間を乗車した列車の折り返し)が来たので、これに乗車して天竜二俣へと向かい、天竜二俣には 9:51 の到着。

   豊橋から天竜二俣駅までの写真

 見学ツアーまで少し時間があったので、駅構内と駅周辺を散策したところ、駅前に旧国鉄二股線を走っていた蒸気機関車が展示されており運転席にも入る事ができた。
 それにしても天浜線の列車はいろいろなラッピングが施されていて見ていても楽しい。
 天竜二俣駅にキップ売り場で見学ツアー参加券(250円)を購入して、10:50~の見学ツアーに参加する。ツアーは盛況で約30名ほどが参加していた。この見学ツアーは予約不要で当日予約できるが、
 この他に実際に列車に乗って転車台を経験する予約ツアー(600円)、車両を貸切って車内で宴会やカラオケを楽しむイベント(料金は12700円~31500円 使用する車両によって価格が異なる)なども
 あり、運賃以外での収入を得ようとする天竜浜名湖鉄道(株)の努力している姿勢が良くわかった。

 転車台&鉄道歴史館ツアーは、同社フタッフが引率して天竜二俣駅構内の鉄道遺産を見学する約45分間のコースで、歩き始めて最初に見えたのが蒸気機関車に使用する水を貯めている大きな円形の
 高架貯水槽である。貯水槽自体の高さは4.7メートルで外径は6メートルあり約70トンもの水を蓄えることができる。少し歩いて見学ツアーのメインである転車台と扇形車庫が姿を見せる。
 現在の車両は運転席が前後両側に付いているディーゼルカーになっているので転車台はを使って車両を180度方向転換する必要はないが、天竜二俣駅の車両車庫は蒸気機関車時代の扇型車庫に
 なっているため車庫へ入れるための方向転換を転車台で行っているため、この駅では転車台はまだ現役で動いているのである。
 実際のディーゼルカーが転車台にのって方向転換するデモまで少し時間があったので、一行は先に駅構内に併設されている鉄道歴史館へと向かう。鉄道博物館には旧国鉄二股線で使用されていた
 貴重な道具類や資料が展示されている。一部のヘッドマーク等は、現在六本木ヒルズで行われている「特別展 天空ノ鉄道物語」のイベントに貸し出されているので、コピー紙の展示であった。
 また鉄道歴史館には道具類だけではなく、当時の駅員用の休憩所など当時の駅員の生活が想像できるものもあり印象に残った。
 ディーゼルカーが転車台を実際に回転するデモはなかなか面白かったが、機会があれば今度は要予約ツアーである「洗って/回って/列車でGO!」に参加して列車内から転車台や列車の洗浄を
 体験したいと感じた。なお、天竜二俣駅では、本屋、高架貯水槽、運転区浴場、転車台、扇形車庫の5ヶ所が国登録有形文化財に登録されている。

   転車台&鉄道歴史館ツアーの写真

 ツアーを終え、天竜二俣 11:46 発の下り列車に乗り、金指には 12:14 の到着。金指駅は、駅上屋、プラットフォーム、高架貯水槽が国登録有形文化財に登録されている。金指駅から
 徒歩40分のところにNHK大河ドラマでの放映された「女城主 井伊直虎」ゆかりの龍澤寺があるが、今回は時間的制約からパスし、代わりに駅から徒歩15分程度の初山宝林寺まで往復する
 事とした。この寺は、井伊家ともゆかりのある金指近藤家の菩提寺で、願掛け寺としても知られている。(天狗の神通力を持つ守神、鎮守龍文坊大権現を祀る『龍文堂』をお参りしてから、
 境内の『金鳴石』を叩くと商売繁盛・金運上昇の願いが叶うといわれている。) しかし、この日は年末年始休暇に入ったためかお寺の拝観はできなかった。



  (金指駅周辺の散策。 GPSロガーのログデータで実際に移動した場所の軌跡を表示)

   天竜二俣駅から気賀駅までの写真

 金指駅に引き返し、同駅 13:16 発の列車に乗って気賀に 13:22 に到着。気賀駅は、駅本屋、駅上屋、、プラットフォームが国登録有形文化財に登録されている。
 また気賀駅から徒歩3分のところには気賀関所があり、この日(12月29日)まで営業している事を事前に確認していたため気賀関所を訪れる事にした。
 気賀関所は、徳川家康によって 1601年(慶長6年)に創設されたと言われている。関所の目的は、『入鉄砲に出女(でおんな)』の監視が主要任務であったので、気賀関所でも本番所の建物で
 その任務遂行していたが、この関所では向番所に牢屋があるのが特徴である。また、遠くを見張るために建てられた遠見番所にも登る事ができた。



  (気賀駅周辺の散策。 GPSロガーのログデータで実際に移動した場所の軌跡を表示)

   気賀駅から新所原駅までの写真

 気賀に戻り、同駅 14:21 発の列車で隣の駅の西気賀に 14:25 に到着する。西気賀駅は、駅本屋と待合室が国登録有形文化財に登録されている。
 前述のように天浜線は日中は1時間に1本しかないので、次の列車まで西気賀駅周辺の散策する事にした。 地図を見ると、西気賀駅には五味半島という名の半東が浜名湖に半東が突き出ており、
 一周15分ほどで回る事ができる。通りがかった地元の方に写真のシャッター押しを依頼し少し話をする中で、「この半東の先端は現令和天皇御一家(当時皇太子)が半島にある別荘で静養された
 ことからプリンス岬と呼ばれており、今でもその別荘が(立入り禁止であるが)存在している。」との情報を入手したので、さっそく小高い丘にある別荘に行ってみたが、外観はそれほど高級な
 別荘ではなかった。



  (西気賀駅周辺の散策。 GPSロガーのログデータで実際に移動した場所の軌跡を表示)

 西気賀に引き返し、同駅 15:22 発の列車で、本日最後の目的地である三ヶ日へと向かう。三ヶ日には 15:36 に到着。三ヶ日駅は、駅本屋が国登録有形文化財に登録されている。
 三ヶ日駅での停車時間が8分あったので、この間に駅舎などが見学でき、三ヶ日を 15:42 に出発する事ができた。

 後は、自宅に向かって一直線で、JRとの接続駅の新所原でJR線を乗り継いで、浜松と沼津で乗り換えて横浜に 20:41 の到着し、横浜線に乗り換えて町田に帰って来た。
 今回は、天浜線の西側(新所原-天竜二俣)の沿線を楽しんだが、近い将来天浜線の東側(天竜二俣-掛川)にも乗車して見たい、と強く思った。


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