旅行日程
先日テレビで、「日本鉄道こころの旅」という番組で小海線(こうみせん)の紹介があり、このJRの海抜最高地点を走る
小海線に乗りたくなった。 帰りは未だ乗った事がない長野新幹線で帰る事にし、以下のような1泊2日の計画を立てた。
1日目(8月7日)
町田−八王子−小淵沢−清里(清里散策)−小諸(泊)
2日目(8月8日)
小諸(懐古園など散策)−海野宿(海野宿散策)−田中−軽井沢(旧軽井沢散策)−大宮−新宿
第1日目(8月7日)
八王子発 8:34 の特急スーパーあずさ5号に乗車するために、町田駅を 7:40 頃の横浜線に乗った。 スーパーあずさ5号
は、小淵沢までの停車駅は甲府駅のみであり、約1時間20分の快適な特急列車の旅を楽しんだ。この日は天気にも恵まれ、
車窓からは時々富士山も見る事ができた。 夏休み期間中なので念のため座席指定券を確保しておいたが、自由席は混雑して
いたようなので、これは大正解であった。
小淵沢駅で4分の待ち合わせで小海線に接続する。小海線は、JRの中で海抜が最も高いところを走る路線なので、高原列車
とも言われているが、もう1つ有名なのは、ここは世界で初めてハイブリッド車両が走った事である。ハイブリッド車両とは
車両を駆動する方法がバッテリーとディゼルエンジンで発電機を回して駆動する2つの方法に対応している方式の事で、両者
を効率よく組み合わせてエネルギー変換効率を向上させると共に窒素酸化物 (NOx) の排出の大幅削減を実現している。
ただし、小海線を走る全車両がハイブリッド車両ではなく、残念ながらこの時乗車した 9:57 小淵沢発の列車はハイブリッド
車両では無かった。
列車は小淵沢駅を発車すると「小淵沢大カーブ」と呼ばれる甲府方面にUターンするような軌道になっているが、この大カーブ
は鉄道ファンには有名らしい。 この大カーブを過ぎると列車は甲斐小泉、甲斐大泉と停車し、最初の散策地である清里駅に
到着した。 清里駅はJRの中で標高が2番目に高い駅で標高は 1274 mである。(第1位は隣の野辺山駅で標高 1345.67 m
であるが、清里駅と野辺山駅の間にJR最高標高地点 1,375 mがある。) 清里駅前には、昔小海線を走っていた蒸気機関車
(C56 通称ポニー)が展示されていた。
清里では観光シーズンは、「清里ピクニックバス」という1日600円で乗り放題のバス便があるので、今回はこれを最大限に
活用する事とした。 まずは、清里駅から清泉寮まで利用する。 清泉寮は、「清里の父」と呼ばれるポール・ラッシュ博士が
創設した公益財団法人キープ協会が運営する宿泊施設であるが、宿泊施設以外にも売店、レストラン、キャンプ場、会議室など
も併設している。 ここで有名なソフトクリームを食べ、売店を冷やかした後、八ヶ岳自然ふれあいセンターをちらっと見た後
約10分ほど歩いてキープ・ファーム内にあるキープ・ファームショップで昼食をとることにした。 カイドブックに記載があった
「ハーベストカレー」という10種類の野菜を使い動物性脂肪は使っていないヘルシーが売りもののカレーを食べたが、特に
絶品という感じではなかった。 このキープ・ファームでは、トラクターによる農園めぐり、バター作り体験、乳牛の乳搾り
体験などをやっており、家族連れで賑わっていた。
八王子から清泉寮までの写真
キープ・ファームから再びバスに乗り、再びJR清里駅を経由して、清里観光スポットの1つの萌木の村へ向かう。 萌木の村
は自然の森の中に、個性あふれるショップやカフェが点在し、とても趣があるところであり、以前に家族旅行でも来た事が
あるが、今回はこの後、JR最高地点へ向かう循環バスに乗るため時間があまり確保できなかったので、オルゴール博物館の
ある駐車場から北ゲートまでを大ざっぱに見ただけであった。 前回家族旅行で来たのは 2006 年の夏であったが、この時から
あまり雰囲気が変わっていないのは少しばかり感動した。
萌木の村からJR清里駅までは都合の良いバス便が無かったので歩く事にしたが、この日はとても暑かったので高原といえども
この約15分の行程はきつかった。
キープ・ファームから萌木の村までの写真
次に、駅前発 14:00 の清里周遊のバスに乗ったが、このバスはJR最高地点(標高 1375m)で5分間停車するので、この間に
鉄道最高地点神社や幸せの鐘などを見る事ができた。鉄道最高地点神社はご神体がレールで以前小海線を走っていた蒸気機関車
の車輪も祭られているなどとてもユニークな神社であった。 バスはJR最高地点を出発し、JR野辺山駅を経由し、再び清里
の各観光ポイントに停車し、JR清里駅に向かうコースであったが、途中の清里ハイランドパークのバス停から多くの人が
乗り込んできた。 ここは冬期はスキー場であるが夏期でもリフトは運行しているようで、リフトで清里高原を楽しむのも
良い考えかもしれない、と思った。
JR最高地点の写真
JR清里駅から小諸行きの小海線の列車に乗ったが、残念ながらこの列車もハイブリッド車両では無かった。 清里から小諸
までは約2時間弱のローカル線の旅で、乗車してすぐに大きな電波望遠鏡が見えたが、これは国立天文台野辺山で、昼夜宇宙
の電波を観測している施設である。 その後、しばらくはのどかな田舎の風景が続き、長野新幹線との接続駅である佐久平駅
に着く。 東京−佐久平間は新幹線で1時間20分程度なので、この小海線沿線に人々は時間的には都心に近いところに住んで
いるとも言えるかもしれない。 佐久平から約30分ほどで列車は終点の小諸駅に到着した。
宿泊先は、旅行直前に空きがあったので予約した小諸グランドキャッスルホテルで、ここは365日同一料金で有名な伊東園
グループのホテルで、1泊2食で7800円(食事は朝夕ともバイキング)であった。 ただし事前にホテルにちゃんと
消臭をお願いしていなかったので、部屋は少しばかりタバコ臭かった点がやや不満であった。
第2日目(8月8日)
ホテルを朝 8:30 にチェックアウトし、ホテルに隣接する小諸城の跡の懐古園を散策する。入場券は 500 円の共通券を購入
し、懐古園内散策、藤村記念館、徴古館、小山敬三美術館、動物園を約2時間かけてゆっくりと散策する事ができた。
二の丸跡、北の丸跡を過ぎて最初に見たのは藤村記念館である。藤村は明治32年に小諸に来て、かつての恩師である木村熊二
に招かれて小諸義塾に赴任したが、小諸で過ごした6年余の作品・資料・遺品がここに展示されている。 木曽の馬籠にも
藤村記念館があるが、こちらは藤村の出身地なので規模は馬籠の方が大きいが、ここの記念館もこぢんまりして良かった。
懐古園内をしばらく歩き、水の手展望台に行ったが、ここからの千曲川の展望は良かった。次にいったん懐古園の外に出て
小山敬三美術館へ向かう。 小山敬三は小諸出身の文化勲章受章者の画家であり、この美術館には彼の絵画が多く展示されて
いたが、美術館と隣接する小山敬三の建物自体もすてきであった。
小山敬三記念館の近くに、寅さん会館というのがあったが、当分の間は休館との事。「男はつらいよ」シリーズ第40作目の
「寅次郎サラダ記念日」は小諸が舞台になった事を記念して建てられたとの事らしいが、無理して観光スポットを作っても、
短絡的な発想ではなかなかうまくいかないようである。
再び懐古園内に入り、天気の良い日には富士山が眺望できる富士見台を通って、動物園に入る。 小さな動物園ではあるが
ライオン、熊、ペンギン、鳥類など一通り揃っていた。日本犬で全国に360頭しかいない川上犬の「さくら」がこの動物園
を飼育員に連れられて散歩していた。
動物園の後は、懐古園を開いた際創建した懐古神社の付属施設で小諸藩ゆかりの品などを展示している徴古館や、木村熊二が
開塾した小諸義塾を復元した「小諸義塾記念館」を見た後、天守台跡などを散策した。
懐古園の写真
再び小諸駅にもどり、次の観光スポットである海野宿へと向かうが、あいにくしなの鉄道の電車の待ち時間が1時間近くあった
ので海野宿へはタクシーで行く事にした。 海野宿は中山道と北陸道を結ぶ北国街道(ほっこくかいどう)の宿駅として
1625年に開設され、昭和62年4月に重要伝統的建造物群保存地区に選定されたため、古い街並みが残っているところ
である。宿場町では、奈良井宿や妻籠/馬籠が有名であるが、海野宿は道路が自動車も走る車道になっているので、宿場町
としては少し格下のように感じた。 主な見所は「なつかしの玩具展示館」と「海野宿資料館」である。
なつかしの玩具展示館は日本各地の郷土玩具が展示されているが、お年玉年賀切手のモデルとなる郷土玩具が展示されて
いるコーナーが印象に残った。 海野宿資料館は江戸時代の旅籠の町から明治時代の養蚕の町へ変化しているまでの生活用具
などが展示されていて、とても興味深かった。
海野宿の写真
海野宿からは、最寄り駅であるしなの鉄道の田中駅まで約30分歩いたが、さすがに暑かった。田中駅からしなの鉄道で
小諸乗り換えで軽井沢へ向う。 小諸駅を出て軽井沢寄りの1つ目の平原駅は、CS放送の旅チャンネルでも紹介された
秘境駅であり、駅舎が貨物列車を改造した簡素な造りになっている。 この日は乗降客がいたので、あまり秘境駅という
感じがしなかった。
軽井沢駅で遅めの昼食をとり、旧軽井沢市街地へと向かう。 運良くちょうどバス便があったので、約15分暑い中を
歩かなくて済んだのは幸運だった。 それでも軽井沢は小諸に比べ涼しいようで、多くの観光客で旧軽井沢メインストリートは
混み合っていた。 旧軽井沢では、聖パウロカトリック教会とショー記念礼拝堂+ショーハウス記念館を散策した。
聖パウロカトリック教会は名建築として軽井沢の中でも代表的な教会で、傾斜の強い三角屋根、大きな尖塔、打ち放しの
コンクリートが特徴で、この日も多くの観光客で賑わっていた。ショーハウス記念館はアレキサンダー・クロフト・ショー師
の別荘を復元したもので、これが『軽井沢の別荘』のトリガーになったとの事である。また、ショー記念礼拝堂は軽井沢最初の
教会建造物で現在でもここで結婚式を挙げることができるようである。
旧軽井沢メインストリートに戻り、多くの観光客と同様に、家族へのお土産を買い、再びバスで軽井沢駅へと向かう。軽井沢から
長野新幹線で大宮まで行き、大宮で埼京線に乗り換え新宿へ、新宿で小田急線に乗り換え、今回の旅が終わった。
軽井沢の写真
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