JR東日本では、土休日の1日間利用できる「ときわ路パス」が期間限定(最終利用日は11月26日の日曜日)で
発売されているが、このフリーキップはJR線だけではなく、関東鉄道、真岡鐵道、ひたちなか海浜鉄道、
鹿島臨海鉄道、にも乗車でき、しかもJR東日本の大人の休日倶楽部会員向けには何と1650円のいう破格
となっている。

最近は青春18キップによるJR線だけではなく、私鉄にも乗りたいと考えており、前回の「北信州ツーデーパス」
に続き、今回は今年第2弾のJR線と私鉄線が混在するフリーキップでの散策となった。



                (今回利用した ときわ路パス)


この「ときわ路パス」がカバーしている私鉄線の運賃を調べて見ると、

  関東鉄道  常総線    取手-下館   間    片道 1510円
  関東鉄道  龍ケ崎線   佐貫-龍ケ崎  間   片道  220円   今回往復利用
  真岡鐵道          下館-茂木    間    片道 1030円  今回往復利用
  ひたちなか海浜鉄道    勝田-阿字ヶ浦 間    片道  570円  今回往復利用
  鹿島臨海鉄道  (注)   大洗-鹿島神宮 間    片道 1570円

となっており、さすがにフリーキップを使わずに「乗り鉄」するにはあまりに費用がかかりすぎる。

今回、これらの私鉄線を1日で全部乗ろうと計画したところ、「乗り鉄」だけでほぼ1日かかってしまったので、
観光は鹿島神宮をちょっと散策するだけしかできなかった。

  (注)正確には、鹿島臨海鉄道は、水戸から鹿島サッカースタジアム駅(臨時駅)までの53.0kmで、
     鹿島サッカースタジアム駅(臨時駅)から鹿島神宮駅までの3.2kmはJR東日本線であるが、
     ここでは便宜的に大洗-鹿島神宮間を鹿島臨海鉄道(大洗・鹿島線)とした。



    (今回の「乗り鉄」ルート。 GPSロガーのログデータで実際に移動した場所の軌跡を表示)


<実際の乗車経路 パス使用日は2017年11月25日 土曜日>

毎度おなじみの玉川学園前発 4:58 の一番列車で新宿方面に向かい代々木上原で地下鉄千代田線の我孫子行きに乗り換える。
地下鉄千代田線はJR常磐線に乗り入れているが、JR常磐線内は各駅停車になるので、JR松戸駅にて常磐線快速電車に
乗り換え、「ときわ路パス」の入口駅の取手に 6:53 に到着。 なお、小田急で新宿まで行き(地下鉄を利用せずに)新宿
から取手へ行くよりも、今回の代々木上原から地下鉄を利用する鉄道3社のルートの方が運賃が若干ではあるが安くなるのは
少し不思議に感じた。(直感的には、鉄道会社2社利用の方が安いように思えていたのだが。。。)

取手駅の自動券売機で大人の休日倶楽部会員用の「ときわ路パス」を購入後、最初に取手からJR水戸線の下館を結ぶ
関東鉄道常総線の列車に乗り込む。 関東鉄道常総線は取手-下館間 51.5km 全線が非電化区間であり、取手から途中の
水海道までの 17.5km は何と複線区間になっている。この区間内にある守谷駅では、つくばエクスプレスとも交差しており
沿線の宅地開発も進んでいてラッシュ時は6分間隔で列車が走っている。 これだけ運行回数が多いのに電化されずに列車
がすべてディーゼルカーである理由を調べてみると、どうも同路線から近い茨城県石岡市に気象庁の地磁気観測所があるため
のようである。つまり電化方式でも安価な直流方式で電化すると地磁気の観測に影響をあたえるためで、高価な交流方式の
電化では観測に影響をあたえないが設備や車両が高コストのためのようである。 
常総線のほとんどの列車は水海道で乗り換える。また水海道から下館までは単線区間となっている。 今回乗車した私鉄4社
の中で、関東鉄道のみがスイカ/パスモが使え、他の3社は使えない。
この日は土曜日にもかかわらず高校生の乗客がとても多かった。
取手を 7:16 に発車し、途中水海道で乗り換え下館には 8:49 の到着であった。

下館では3分の連絡で、真岡鐵道茂木行き 8:52 発の列車に乗り換える。真岡鐵道は下館-茂木間 41.9 km の路線である。
真岡鐵道は土休日に運行しているSL観光列車が有名であるが、沿線には益子焼で有名な陶器の街の益子町もある。
一両編成の列車は下館を出発し約30分ほどで真岡に到着したが、この日はSL運行日の土曜日だったので、SL機関車が
真岡駅ホームに待機していた。 私の乗車した列車は真岡駅に5分停車後、約20分程で益子に着き、更に約25分程で
終点の茂木に到着した。 元々乗客は10人程度しかいなかったが、途中の焼物の街益子で降りたのは1人だけだった。
茂木駅の手前に大きな道の駅があったが、茂木駅自体は何もない不通のローカル終着駅という感じだった。
すぐに茂木からの折り返し列車で引き返す。 帰りは真岡駅で15分程の停車時間があったので、真岡駅はSLを形取った
複合施設で、真岡市情報センター、真岡駅前 交番、真岡鐵道(本社)が併設され、関東の駅100選にも選ばれている。
真岡駅に隣接して「SLキューロク館」という施設があり、館内には9600形SLと旧型客車、 屋外にはD51形SLの
ほか古い車掌車や貨物車などが展示されている。この日は幼稚園の園児たちが卒園記念の写真を撮っていた。
下館行き列車の発車時刻が近づいたので列車に戻ると、反対側ホームにはSL観光列車が入線してきて先ほどの卒園の園児
たちがSLに乗り込んでいた。 卒園記念としてはきっと記憶に残る楽しい1日だったと思われる。

  取手-下館-茂木-真岡-下館 間の写真

下館からはJR水戸線の下り電車で水戸方面へと向い、友部でJR常磐線に乗り換え水戸の1駅先の勝田で下車。
今回は、乗り換えの接続時間が短くなるように熟慮して計画を立てたため、この日の昼食は時間の関係で勝田駅の売店で
パンとおにぎりを購入する事となった。
勝田駅でひたちなか海浜鉄道に乗り換える。 ひたちなか海浜鉄道湊線は、勝田-阿字ヶ浦間 14.3km の路線である。
湊線は現在茨城県で水戸市、つくば市、日立市に次ぐ第4位の市であるひたちなか市が出資する第三セクターになっている。
湊線の時刻表を見て気が付いた事は、早朝(4時台~5時台)から深夜(23時台~0時台)にも列車が走っている点で
その理由を調べてみたところ、湊線は通勤(や通学)の定期客が多いためのようである。湊線を使えば通勤のため自家用車を
持つ必要が無く家計にやさしくなるが、これらの通勤客が不便を感じないように都心並みのダイヤになっているらしい。
湊線沿線は、確かに大半が農村地帯ではあるが、駅の周囲には比較的新しい住宅が立ち並んでおり、ひたちなか市が日立製作所
の企業城下町の一面を持つことも、このような都心並みダイヤを可能にした一因と考えられる。
現在湊線は、終点の阿字ヶ浦から更に 3km ほど延長してネモフィラで有名なひたち海浜公園まで延ばす事を検討中との事で、
将来が楽しみなローカル線である。 ただし現時点では阿字ヶ浦駅の構内には古いディーゼルカーが放置されているような
感じで駅前には活気がない。

再び勝田までの折り返し列車に乗り、勝田からは水戸行きのJR常磐線の電車に乗り換え、今度は鹿島臨海鉄道大洗鹿島線
に乗車する。 鹿島臨海鉄道はこのほかに鹿島臨港線があるがこれは貨物専用線なので、旅客用は水戸と鹿島サッカー
スタジアム駅(臨時駅)の 53.0km を結ぶ大洗鹿島線だけである。 ただし実際の列車の運行は、さらに 3.2km 先のJR
東日本鹿島線の鹿島神宮駅まで乗り入れている。 しかし、水戸からの列車の約半数は3つ目の大洗止まりである。
この日は、まず水戸発 14:10 の大洗止まりの列車に乗車した。 大洗といえば、苫小牧へのフェリーのターミナルや、
水族館(アクアワールド)などが有名であるが、いずれも大洗駅から 2km 以上離れたところにあるので、この駅は便利な
場所にあるとは言えないが、駅内ではお土産も販売しているミニコンビニ店やレンタサイクルもやっており、それなりに
観光客は来るようである。 アニメファンにとっては、大洗を舞台としたテレビアニメーション「ガールズ&パンツァー」
の方が水族館などより知名度があるかもしれない。実際に大洗駅構内には「ガールズ&パンツァー」仕様のラッピング列車
が引き込み線に停車していた。
大洗駅で30分ほど時間を潰した後、15:00 発の鹿島神宮行きの列車に乗車。 途中、霞ヶ浦を構成する湖のひとつである
北浦を見る事ができ、臨時駅の鹿島サッカースタジアム駅からは大きなサッカー場の屋根を一瞬見ることができた。
鹿島神宮駅には 16:08 着。

鹿島神宮から佐原方面の電車の発車時刻 16:34 まで少し時間があったので、大急ぎで鹿島神宮まで徒歩で往復した。
鹿島神宮は、日本建国・武道の神様である「武甕槌大神」(たけみかつちのおおかみ)を御祭神とする神武天皇元年創建の
由緒ある神社である。 鹿島神宮に着いたのが 16 時過ぎで薄暗くなりつつあったが、境内にはそれなりの参拝客がいて
少しばかり賑やかだった。時間がなかったので、楼門、本殿・石の間・幣殿・拝殿などを見て急いで鹿島神宮駅へ戻った。

ここから関東鉄道龍ケ崎線の最寄り駅であるJR常磐線の佐貫駅へ行くのに、鹿島臨海鉄道大洗鹿島線を水戸まで引き返し
水戸から佐貫まで行くルートでは時間がかかり過ぎるため、潮来 → 佐原 → 成田 → 我孫子 → 取手 というルートを
選択した。 ただし、鹿島神宮から佐原へ向かって2つ目の駅の潮来からは「ときわ路パス」の範囲外の別料金コースと
なるが、約2時間ほど節約できるので、一部別料金となるが上記の佐原コースとした。 「ときわ路パス」出発点の取手
に戻り更に2つ目の佐貫で、本日最後の関東鉄道龍ケ崎線に乗り換える。
関東鉄道龍ケ崎線は、佐貫-龍ケ崎間の 4.5km を結ぶ全線非電化で単線の路線である。 今回乗車した車両はつり革に
本物そっくりの「コロッケ」をつり下げた車両だったが、これは昨年(2016年)に龍ケ崎市で全国コロッケフェスティバル
が開催された事に起因するらしい。 龍ケ崎線に乗車したのが19時を過ぎていたので7分間の車窓は全く楽しめず、
龍ケ崎駅名の入った写真を撮るだけになってしまった。

  勝田-阿字ヶ浦-勝田-水戸-大洗-鹿島神宮-龍ケ崎 間の写真

佐貫から取手に戻り、取手からは、行きと同じく松戸で地下鉄千代田線直通電車に乗り、更に代々木上原で小田急線に
乗り換え自宅には22時前に到着することができた。
結局、ほとんど茨城県の観光はできず、1日中「乗り鉄」の旅であった。


  
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