◆第3日目(6月15日)
2日続けて、6時台に自宅またはホテルを出発、という強行日程だったので、
朝はゆっくりする予定であったが、この日乗車を予定していた大糸線が、昼間の
時間帯が月1回の保守工事のため列車が運休(しかも代替バスも運転なし)
という事となっていた。糸魚川駅発8時20分の列車を乗り過ごすと、17時
25分まで列車が動かない、とあっては自宅に帰れなくなるので、金沢発6時
48分の「北越1号」に乗るため、またしてもコンビニのおにぎり朝食となって
しまった。金沢から糸魚川までは、第1日目と同じルートだったので、この間は
車窓を見ず、これから行く安曇野のガイドブックを見ていた。
糸魚川駅で3分の連絡で、大糸線の南小谷行きの1両編成のディゼルカーに乗る。
日曜日の朝なので通学生もおらず、のんびりと車窓を眺められそうである。
大糸線は糸魚川−松本間で、糸魚川−南小谷まではJR西日本管轄、その先は
JR東日本の管轄であるがこちらは電化されて、特急あずさ号も走っている。
糸魚川−南小谷間は本日の昼間が運休という情報を知って、「JR西日本は怠慢
だ。保守工事は夜間にやって乗客に迷惑をかけるべきではない。そんな根性だか
ら関西系私鉄に負けるのだ。」と心の中で思ったが、この区間を乗って見て、そ
んな考えは払拭してしまった。宮脇俊三さんが著書「駅はみている」の中で、この区
間の大糸線にふれているが、「谷は荒々しく、雪崩よけのシェルターの連続になる。
春先ならば、対岸に雪崩の跡をいくらでも見ることができる。こんなところに鉄道
を敷設した工事関係者の労苦が偲ばれる。」と書かれているが、まさに山岳鉄道の
感で、こんな路線を夜中に保守工事をやる自体非現実的である事を実感した。
列車は、糸魚川−南小谷間では唯一観光地である姫川温泉のある平岩駅に着き、
半数くらいの乗客が入れ替わる。平岩駅を過ぎると、山あいに「白馬大仏」という
真っ白な大仏像がが見えた。糸魚川駅を出発してから約1時間で、ディゼルカー
の終着駅の南小谷に着いた。
南小谷からは、2両編成のJR東日本の電車(ただし運転手しかいないワンマン
カーであるが)に乗り換える。途中、白馬駅や仁科三湖(青木湖、中綱湖、木崎
湖)を車窓で楽しみ、信濃大町駅に着く。ここから乗客も増え、2両編成の電車
内は立っている人も出た。南小谷駅から約1時間半で目的地の穂高駅に着いた。
天候は曇りで、今にも雨が降り出しそうだが、何とか2〜3時間の散策ができそ
うだ。
穂高駅で、荷物をコインロッカーに入れ、身軽になって、いざ散策開始だ。
駅→穂高神社→井口喜源治記念館→東光寺→大王わさび農場→早春賦歌碑→駅、と
いう約3時間のコースである。
最初に立ち寄ったのは、穂高神社で、安曇野を開拓したと伝わる安曇族の祖神を
祭っているが、交通安全や産業の守り神でもある。天気が悪かったがそれなりの
参拝客がいた。次は井口喜源治記念館の前まで来たが、入館しなかった。井口
喜源治は、キリスト教の精神に基づく理想教育を目指し、明治31年に塾を開い
た人で、展示物は塾の資料や教え子の遺品との事である。東光寺という曹洞宗の
お寺と、かつて庄屋を務めた等々力家の本陣をちらっと見て、本命である大王
わさび農場へ向かう。
穂高散策(その1)の写真を見る
大王わさび農園は、日本最大のわさび農園であり、今は多くの観光客が訪れる
安曇野の観光名所となっている。農園内は、美しいわさび田の中に木橋を架けた
散策路が整備されており、また売店や食堂も完備している。私も、他の観光客と
同じようにわさびソフトクリームを食べた。また昼食はここの食堂で800円の
「田舎定食」を食べた。ざるそばのつゆや、おにぎりに巻く海苔に名物のわさび
が使われていた。農園内は神社、展望台を散策して楽しかったが、メインルート
から外れた水車の風景が印象に残った。ここは昔、黒澤明監督の映画のロケ地に
なったとの事で、それも納得できた。良いわさびができる条件として、四季を通
して水温がほぼ一定のきれいな川の水が必要であるが、この川は流れが急な
ため水が淀んでいない。
穂高散策(その2)の写真を見る
わさび農場を出発し穂高駅に向かう途中、昔NHKの朝の連続ドラマ「水色の時」
に登場した道祖神があった。このドラマは昭和51年放映との事で、私が北海道
を離れて今の会社に入ったのが昭和52年4月なので、いろいろな意味でなつか
しいドラマだ。駅に向かう途中、観光用でなく、本当にわさびをつくっていると
ころが多数あった。また帰りの遊歩道で、川の周辺に花を植えた鉢がたくさんあ
り、気持ちが良かった。
しばらく歩くと、早春賦の歌碑があった。この歌碑には早春賦のメロディの楽譜
が書かれており、これを読むと誰でも一度は歌った事がある有名な歌であったが
旅行中は覚えていたのに今は忘れてしまった。どうも最近記憶力が衰えているよ
うで、心配になってくる。
穂高散策(その3)の写真を見る
穂高駅発14時27分の電車にのり、松本駅に15時に到着。松本発15時20
分の特急あずさ66号に乗り、八王子駅で下車し、横浜線に乗り換えて町田駅に
夕刻に到着した。
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