10月19日(日)

 2006年6月と同じく、今回も社用で大阪で開催される国際会議に出席する事になった。
 当然、、週末に奈良大和路散策をする予定で、8日間有効の、奈良・大和路フリーキップ
 を購入し、新横浜発9:39発 のぞみ115号で京都に向かう。
 新横浜から京都までの新幹線には何回も乗っているが、約2時間で京都に着くので
 本当に京都・奈良は首都圏から近いのだなあ、と感じる。

 京都からは、今回はJR線ではなく、近鉄の急行に乗り、大和西大寺に向かう。
 西大寺駅のコインロッカーに荷物を預け、身軽になったところで、近鉄奈良駅へ向かう。

 奈良で2〜3時間の余裕があったので、今回は若草山に登ることにした。
 
 若草山山頂までは自動車で行けることもあって、あまり歩いて登る人はいないようで
 ガイドブックにも詳細のコースが記載されていない事が多い。
 たまたま手持ちの図書館から借用したガイドブックに山頂までのコースが記載されて
 いたので、それに従って散策する事にした。

 近鉄奈良駅から東大寺の方に向かって歩く。 奈良・大和路フリーキップを持っているので
 バスにも無料で乗ることができるが、さすがに日曜日の午後という事で交通渋滞が激しく
 歩いた方が早い。 左折すれば東大寺へ行ける交差点をそのまま直進すると、奈良県の
 新公会堂があり、周辺の公園スペースには家族連れがくつろいでいた。ここを過ぎると
 だんだんと道幅は狭くなり、水呑茶屋を過ぎると、自動車は通行止めとなっている。
 ここは「春日山遊歩道」という名前がついているが、実際は自動車も通行可能な道幅で、
 あまりハイキングコースという感じはしない。 それでも、時々歩いているグループをすれ違う。
 途中、人が集まっているところがあったので何かな、と思ったらヘビがいたのにはびっくりした。

   
春日山遊歩道の写真


 もくもくと30分以上歩いて若草山山頂に着いた。 山頂付近で高校生のオーケストラ部と
 思われる団体が演奏の練習をしていた。 この日は快晴で、山頂からは奈良市内を一望
 できてとても気持ちが良かった。 子ども連れや若いカップルも多かったが、私のように徒歩
 で山頂まで歩いてきた人はどのくらいいるのだろうか。 山頂には、鶯塚古墳(うぐいすづか
 こふん)という前方後円墳があり史跡となっているようである。

 若草山山頂から春日大社の方へ行くコースがあったので、そちらに行く事にした。ただしこの
 コースは150円の有料コースである。 このコースは、途中の眺めも良く、だんだんと下界へ
 下っていくような感じがして、なかなか気持ちが良い。 途中、ボランティアと思われる一行が
 ゴミを広い集めて山を清掃していた。 このコースは登りの「春日山遊歩道」とは異なり、
 傾斜はそれほどでも無いが、なにしろ距離が長いので、逆コースの人は汗をかきながら懸命に
 登っていた。

   
若草山山頂から春日大社までの写真

 ゆっくり歩いて下界である春日大社の付近に着いた。ここから東大寺に向かって歩く。

 さすがに東大寺は人が多く、奈良公園名物の鹿もたくさんいて、道ばたには鹿の糞も多くあり
 注意して歩く必要があった。 ここ10年以上は、東大寺の大仏殿を見たことがなかったので
 久しぶりに大仏を拝観する事にした。 以前は写真撮影は禁止だったような記憶があるが、
 今回は撮影OKだったので、チャレンジしたが、大仏が大きすぎるのと室内が暗いこともあって
 なかなか上手に写真がとれない。

 大仏殿から南大門に向かう。 南大門は1203年に建築され、国宝となっているだけあって、
 さすがにスケールが大きい。 門の左右に控える金剛力士像も運慶・快慶の作で国宝である。

   
東大寺の写真


 時間が来たので、今夜の宿泊地である京橋に向かう。
 今回は、近鉄で西大寺から丹波橋に逆戻りし、丹波橋から京阪電車に乗り換えて京橋に行く事
 にした。 JRを使うより時間が多少かかるが、この方法が運賃が一番安くあがるようである。


10月22日(水)

 午前中の会議が早く終わったので、大阪散策をする事にした。 
 850円の「大阪市交通局・共通一日乗車券」を購入し、まずはヨドバシカメラ大阪梅田店へ行った。
 首都圏では多くの店舗を持つヨドバシカメラであるが、何故か関西圏ではこの梅田店だけのようである。

 大阪散策で最初に行ったところは、中之島にある大阪市中央公会堂である。これは、大正時代に
 建てられたネオ・ルネッサンス様式の建築物であり、日本の近代建築史上重要なものとして
 2002年に国の重要文化財に指定されてた。 夜にはライトアップもするとの事で、きっと綺麗だろう
 と想像してしまう。私が行ったとき、中学生と思われる団体が、ここで写生の授業をやっていた。

   
大阪市公民館・天保山の写真

 次に、ベイエリアにある天保山へ向かう。天保山は、標高4.53mという日本一低い山であるが、
 ちゃんと三角点もある。 ここに、最高地上高112.5mの天保山大観覧車があるので、さっそく
 乗って見ることにした。しかし残念なことに、この日は朝から曇りがちで大観覧車に乗る頃には小雨
 が降り始めた。天気が良ければ、東には生駒山、西には明石海峡まで見渡せるのであるが、この
 日は残念ながら遠くまでは見渡せなかった。それでも大阪湾やそこにかかる橋とその上の自動車の
 光景を十分楽しむ事ができた。

 天保山マーケットプレースというショッピングセンターで食事をした後、南海ポートタウン線のニュートラム
 の車窓の中から大阪湾、WTC(ワールドトレードセンター)コスモタワーなどを観光し、さらに地下鉄を
 乗り継いで天王寺駅に向かう。

 次の目的地は、全国にある住吉神社の総本宮である住吉大社である。 天王寺から、阪堺電軌阪堺線
 の電車で住吉大社に向かったが、この電車は今は珍しくなった路面電車であった。 住吉大社に着いた
 ころは雨も本格的に降って来た。 傘を差しながら、急いで住吉大社の境内を回ったが、名前から想像
 していたのに比べ、意外と境内は狭かった。

    
住吉大社の写真


10月24日(金)

 会社の仕事が14時頃終わり、京橋からJR線で天王寺を経由して、JR奈良駅に向かう。
 今日と明日の宿泊ホテルは、JR奈良駅前の「スーパーホテルJR奈良駅前」である。以前に宿泊した
 のは、近鉄新大宮駅前の「スーパーホテル奈良」であり、JR奈良駅前の方は初めてである。
 ホテルに着いたのが16時過ぎで、まだ時間があったので、三条通りを直進して猿沢の池の方向に
 向かう。 途中のお土産店で、修学旅行とおぼしき高校生の集団が、お店の人に声をかけられながら
 お土産を選んでいた。

 猿沢の池から右折して、奈良町の方に向かう。最初に行ったのは元興寺極楽坊であったが、もう遅かった
 ので、境内の中には入らなかった。 その後は、気の向くままに、奈良町界隈をぶらぶらした。ならまち格子
 の家は前回入ったので今回はパスしたが、同じく前回も行った元興寺塔跡には今回も立ち寄った。基壇と
 礎石した残っていないところなので、さすがにここには誰もいなかった。 この後、名勝大乗院庭園文化館を
 見た後、奈良ホテルの入り口を通り、再び猿沢の池に戻った時には、あたりは真っ暗になっていた。
 興福寺の五重塔と東金堂がライトアップしていたが、なかなかうまく写真に収めるのは難しい。
 ライトアップは10月末日との事だったので、運が良かった。

   
奈良町周辺の写真


10月25日(土)

 今日の予定は、まず高野山へ行く事である。 高野山は和歌山県なので、厳密に言うと大阪・奈良散策には
 当てはまらないと思うが、奈良・大和路フリーキップは高野山の入り口の駅とも言える、JR/南海の橋本駅
 までカバーしているので、この特典を最大限に生かす事にした。

 JR奈良駅前のホテルで朝食のパンを食べ(この朝食も1泊4980円の宿泊料金の中に入っているのは大変
 有り難い)、まずは快速大和路で王寺駅まで行き、ここで和歌山行きの電車に乗り換える。
 途中の高田駅を過ぎると、ICOCA(JR東日本のSUICA相当の非接触ICカード)も使えなくなるような完全な
 ローカル線である。 関西圏では、JR西日本は完全に私鉄連合に負けている、と実感してしまう。
 橋本駅からは南海電車に乗り継いで、高野山駅に向かう。ただし鉄道が通っているのは極楽橋駅までで、
 そこから1駅はケーブルカーになる。 終点の高野山駅からは、南海りんかいバスに乗っていよいよ高野山
 の世界遺産へ向かう。 ケーブルカー駅からは、歩行者の通行禁止のバス専用の道路であるため、旅行者
 は全員バスに乗る必要がある。私も800円の1日フリー乗車券を購入した。 

 最初に、一番遠い奥の院前までバスで行き、そこから奥の院御廊への道を歩く。 バス停からしばらくは
 白い砂利道を歩くが左手に入ると、もうそこは現世とはかけ離れた静寂が支配する空間となってしまう。
 ただ団体客を引率する寺院の説明者の声を耳にすると、その一瞬は現世に戻るという感じであった。
 参道の両側にある墓石には、例えば「豊臣家の墓」といった、歴史上有名な家や人物の名も多かった。
 御廊の手前に、「ここより先は写真撮影禁止」という立て札があり、まさに聖域という感じがひしひしと伝わって
 来た。 御廊は、弘法大師がそのままの形で眠っている、との事で、信者たちの中には熱心にお経を唱えて
 いる人も多かった。

   
高野山の写真(1)


 御廊からの帰りは、多くの墓石があるもう1つの参道を通って、一の橋バス停の方に向かう事にした。
 一の橋バス停付近で1件だけ食堂があったが、お昼はもう少し我慢することにして、バス道を徒歩+バスで
 のんびりと散策した。 途中、苅萱堂(かるかやどう)という、昔の悲しい物語ゆかりの堂を経て、千手院橋
 バス停までたどりついて、そこで昼食をとった。

 昼食後、高野山真言宗の総本山である金剛峯寺(こんごうぶじ)へと向かう。 この寺は襖絵が有名であるが
 この襖絵は写真撮影禁止との事。 でも、この寺の庭はなかなか趣があって良かった。 次に向かったのは、
 霊宝館(れいほうかん)という、高野山に残る国宝や重要文化財を展示するいわば博物館である。 多くの
 展示物があったが、私にはその価値がいまいち良く理解できなかった。

   
高野山の写真(2)


 次に向かったのは、金堂、御影堂、根本大塔(こんぽんだいとう)などが集中しているゾーンである。 このうち、
 朱塗りの大きな塔である根本大塔は、高野山のシンボルとも言えるもので、金剛界四仏が安置されているもの
 である。また御影堂は、弘法大師がお住まいになっていたと言われているお堂である。このほかにも東塔や西塔
 もあり、このあたりが高野山観光のメインの場所のように思える。

   
高野山の写真(3)


 この一帯から少し歩いたところに大門があり、高野山の総門にふさわしい堂々とした大きな門であった。
 ここからバスに乗り、途中、徳川家の墓石があるところで下車した。 徳川3代将軍家光が建立したもので、
 家康と秀忠の両霊屋である。 高野山最後のスポットは女人堂(にょにんどう)であり、明治5年までは女性は
 ここより先には立ち入れなかったとの事である。
 行きと同じ道を引き返し、ケーブルカーと南海電車を乗り継いで、再び橋本駅に来た。
 ここからJR和歌山線を奈良方面に向かい、途中の吉野口駅で近鉄電車に乗り換えた。
 今週まで薬師寺のライトアップをやっているとの情報であったが、残念な事に薬師寺の境内には入れず、
 ライトアップされた薬師寺の全貌を見ることができず残念であった。 同じくライトアップされた興福寺の
 五重塔がある奈良公園を通って、JR奈良駅前にあるホテルに戻ってきた。

   
高野山の写真(4)+薬師寺等のライトアップ


10月26日(日)


 本日は、大和三山(畝傍山、香具山、耳成山)を登る散策コースであるが、残念な事に天気予報は曇り時々雨
 との事で、奈良の1人旅では雨に遭遇するというジンクスは残念ながら今回も的中してしまった。
 でも朝の出発時にはまだ雨は降っていなかったので、ホテルをチェックアウトし、大和西大寺のコインロッカー
 に荷物を入れて、橿原神宮へ向かう。 ホテルの冷蔵庫にミネラル水を置いて来てしまった、という失敗に
 気がついたのは近鉄電車に乗ってからであった。

 最初に行ったところは、橿原神宮駅から歩いて10分弱の久米寺(くめじ)である。 この寺は真言宗発祥の地
 とも言われているが、境内の朱塗の多宝塔が特徴がある。金堂などもあるが、今日は拝観はパスして、橿原神宮
 の境内に向かう。朝早かったためか、神宮の境内は人影はまばらであったが、七五三などの催し物の準備のため
 の垂れ幕があった。

 大和三山最初の畝傍山の登山口は、この橿原神宮境内にある。 約20分ほど歩いて山頂に着く。
 山頂は曇っていたが、一応下界を見渡す事ができた。 反対方向の登山道を降りると、ちょうどお祭りをやって
 いたが、そこを通り過ぎると、橿原考古学研究所附属博物館があり、物珍しさにここに入ってしまったのが、ちょっと
 した失敗であった。 第一に、私は日本史の奈良時代近辺に興味があったのに、この博物館で扱っているのが
 それよりはるかに前の時代である事、第二に親切なボランティアのおばさんが説明して下さるとの提案を断りきれず、
 予想外(1時間以上)に時間を使ってしまったこと、が後悔の原因である。

   
大和三山の写真(1)


 気を取り直して、この博物館を出て、近鉄畝傍御陵前駅を通り過ぎて、本薬師寺跡へ向かう。 西の京にある薬師寺
 はここから移転したと言われている。 今回たまたまハイキング同好会の団体が来ており、ガイドの説明を横から
 聞くことができたので、畑の中にある塔跡についても理解することができた。
 本薬師寺跡からのどから道を歩き、香具山へと向かう。途中、紀寺跡や法然寺を通り、香具山登山口まで歩き、
 ここから約15分で香具山山頂に着く。 山頂からの展望は畝傍山の方が良く、香具山からは木々のわずかの隙間
 からしか下界を見ることができなかった。

 香具山を下山し、麓の香具山神社をとおり、藤原京跡への向かう。 途中道に迷いつつ何とか藤原京跡にたどり
 ついた。 一部は発掘調査中との事で立ち入り禁止になっていた。
 このころから小雨もひどくなってきたが、大和三山最後の耳成山に向かう。 奈良のガイドブックにも耳成山への
 散策が載っているものが少ないので、この山はあまり人気がないようである。 確かに山頂からの眺めは、三山の
 中では最低であった。 大和八木駅へ向かう。

   
大和三山の写真(2)


 まだ帰りの新幹線まで少し時間があったので、大和八木駅から西大寺へ向かう途中、尼ヶ辻駅で降り、歴史のみちを
 少しだけ歩く事にした。 尼ヶ辻駅から少し歩くと垂仁天皇陵があり、右手に入って喜光寺や菅原神社の方向へ向かう。
 喜光寺は、以前に来た時は拝観時間が過ぎて入れなかったが、今回はゆっくり見ることができた。 拝観料は無人の
 受付の箱の中に入れた。 本堂の対面が工事中の高速道路だったので、いまいち落ち着いた感じがしなかった。
 菅原神社には、高校生らしき人が熱心にお参りをしていたのが印象的であった。

 菅原神社から西大寺までの区間が、今はすっかり宅地開発の波にもまれて、歴史のみちのルートが非常にわかりにくく
 なっているが、何とか西大寺境内にたどり着いた。 ぎりぎり拝観時間に間に合ったので、本堂を駆け足で拝観した。
 この日は西大寺でお茶会らしき事が行われていたらしく、たくさんの着物姿の女性が境内にいて、帰路を急いでいた。

   
歴史のみちの一部


 西大寺駅で荷物をピックアップし、近鉄急行で京都に向かう。 途中踏切事故のため、電車が20分ほど止まったが、
 京都からの新幹線の乗り遅れることもなく、町田に着き、今回の一連の出張旅行も終了した。




   
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